エルツの調べ ドイツのオルゴールたち

優しい調べが響きます

オルゴールと言えば,スイスのリュージュ社が有名ですが,ドイツのエルツでは,木のおもちゃの技術を生かしたオルゴールが数多く作られています。台座に小さな木の人形が乗っていたり,仕掛けが施してあったり,小さな手回しタイプがあったりと様々です。優しい調べと共に,台座の上をゆっくりと回る木の人形たちを眺めるのは,クマとノコにとって幸せなひと時です。
今回紹介するオルゴールは,いずれもザイフェンを中心とするエルツ地方の会社や工房で作られたものです。小さな部品に至るまで,その全てが木で作られており,マイスターの技術の高さが分かります。また,マイスターによって顔の表情がことなり,らしさを主張しています。お気に入りのマイスターや工房が見つかると楽しみも倍増しますが,出費も倍増します。(^_^.)



台座が回転するタイプ

イメージ 1

↑ クマとノコの大好きな工房「フラーデ」のオルゴールです。ここの工房は,ご両親から姉妹が引き継いでマイスターをやっています。この作品は,妹さん「Kerstin Drechsel」の制作です。妹さんの作品は,他に小さなお人形シリーズが,お姉さん「Annelie Wiltner」の作品は,屋台や小箱シリーズが我が家にはあります。
 天使とサンタさんの顔が優しいです。背景にある木も削りだして作っています。この木が作れないと,一人前のマイスターと認められないそうです。




イメージ 2

↑ R&G社のオルゴールです。この会社はザイフェンでは珍しく規模の大きな会社で,何人ものマイスターがいます。手がけている種類も多く,煙出し人形,くるみ割り人形,ピラミッド,シュヴィップボーゲン,オルゴールetsと多様です。
 ザイフェンの教会と聖歌隊です。左右にある木は,同じく職人技の削りだしです。




手回しタイプ

イメージ 3

↑ ヴェルナーファミリーの次男「Wolfgang Werner」の手回しオルゴールです。2000年3月に放映されたテレビ番組「世界ウルルン滞在記」で,ヴェルナーファミリー宅がステイ先となりました。父「 Walter Werner」は,1830年頃の鉱夫のパレードをテーマとした作品や,くるみ割り人形,天使と鉱夫,エルツ地方の人たちをテーマとしたミニチュアシリーズなどを手がけています。長男「 Werner Christian」は,ろくろ細工を得意とする数少ない職人の1人です。次男「Wolfgang Werner」は,エルツ地方に伝わる仕掛けおもちゃ作りを継承しています。三男「Siegfried Werner」は,父の工房の後継ぎとして父の工房を手伝っています。 
 ハンドルを回すとメロディーが流れ,新郎新婦が回ります。後ろにある木は,もちろん職人技の削りだしです。




イメージ 4

↑ 可愛いサンタさんのオルゴールです。ハンドルを回すとメロディーが流れ,ツリーが回ります。どこの工房かは分かりません。




仕掛けタイプ

イメージ 5

↑ 一見ただの可愛い箱ですが・・・。




イメージ 6

↑ スライドさせると中から,ネズミが出てきてメロディーが流れます。




イメージ 7

↑ こちらの箱も・・・。




イメージ 8

↑ スライドさせると中から,女の子が出てきてメロディーが流れます。この二つのオルゴールは,先に紹介したヴェルナーファミリーの次男「Wolfgang Werner」の作品です。ただし,この仕掛け,実は,日本の西田明夫氏が考案・デザインしたもので,「Wolfgang Werner」が気に入って共同制作となったものです。西田明夫氏は,岡山の現代玩具博物館と神戸の有馬玩具博物館,二つの博物館の館長を務めながら,現代的なからくり人形の制作とデザインを手がけられ,おもちゃの世界では有名な方でしたが,2009年2月にお亡くなりになられました。