天使と鉱夫の燭台 エルツの優しい明かり

最もエルツらしい木のおもちゃの一つ

ドイツのエルツ地方は,銀や錫などの鉱石資源が豊富に産出され,15世紀の後半から16世紀の前半にかけては大変栄えました。しかし16世紀の終わり頃には,資源が枯渇して採掘量が減ってしまい,鉱業に従事していた人々の生活はとても苦しいものとなりました。そこで,少しでも収入を得るために,もう一つの身近な資源であるエルツの森の豊富な木材を利用し,もともと趣味で彫っていた木彫製品や,女性たちの編んだボビンレース製品などを売るようになりました。しかし,販売業者の搾取がひどく,20世紀後半になるまでは,苦しい生活が続いていたようです。
鉱業で栄えた名残は,鉱夫がおもちゃのモチーフになっているところにもあります。また,天使もモチーフによく使われますが,天使は,キリスト教で光の使いとされていますので,一日中光の届かない鉱山で働く鉱夫にとって特別な存在であったと思われます。
 この燭台は,実はドイツではなく,オーストリアのウィーンで購入しました。未だ,ドイツの木のおもちゃについてあまり知らない頃です。たまたま,ウィーンのグラーベン通りにある家具調度品の老舗に入った時,店内に並んでいるのを見かけました。何とも言えない優しげな表情だったため,どうしても欲しくなりました。しかし,値札を見ると相当高いのです。財布と相談の結果は,1体分しかないとの返事です。どちらにしようか迷い,天使を買うことに決定してお店の方を呼ぶと,両方持ってくるではありませんか。「天使の方を買います。」とノコがカタコトの幼児ドイツ語で言うと「これはセットです。」とお店の方の言葉。そんなに払えないと諦めかけると「この値段はセット値段よ。」と・・・。今では笑い話ですが,当時はアタフタしていました。(^^♪

天使と鉱夫の燭台

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↑ やはり1体では落ち着きが悪いというか寂しそうです。


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↑ ドレスデンのクリスマスマーケットでは,リアル天使が舞台で歌っていました。お人形の天使と全く同じ格好をしています。残念ながら鉱夫はいませんでした。