ドイツ木のおもちゃ界のベンツ ヴェント&キューン

ドイツの小さな田舎町での出会い

 今回紹介する工房「ヴェント&キューン」は,エルツ山地の小さな田舎町,グリューンハイニヒェンにあります。
 グリューンハイニヒェンは今でこそ小さな田舎町ですが,以前はエルツ山地のおもちゃ産業の中心地として栄えた町で,マイスターを育成するおもちゃ実業専門学校(現在はエルツ山地の民芸品展示館となっています。)もあり,多くのマイスターを輩出していました。しかし,この学校は東ドイツになってから10年ほどで閉鎖されたようです。エルツ山地の民芸品展示館は,ザイフェンのおもちゃ博物館とは比較にならないくらい小さなものですが,展示物には木のおもちゃの歴史を理解する上で,大変貴重な物が多くありました。あまり訪れる人がいないようで,クマとノコが訪ねた日は貸切状態でした。
 係の方から,大変親切に町の案内をしていただき,貴重な東ドイツ時代の絵ハガキまで頂戴(千代紙をクマとノコから差し上げました。)しました。
 ヴェント&キューン社は,1915年にドレスデン美術工芸学校の卒業生だったグレーテ・ヴェントさんとマルガレーテ・キューンさんが,グリューンハイニヒェンに工房を開き始まりました。同社の作品の特徴は,ろくろ加工した立体的なパーツを使用し,動きや表情を生み出していることと,他社にない陶器のような光沢ある彩色です。これまでに,花の子ども,天使の楽隊,雪の天使などのミニチュアシリーズを作り上げていますが,中でも,現在ザイフェンのいくつかの工房で作られている天使たちの出身地は,ヴェント&キューン社であると言われ,同社の優れた独自性を示しています。
 また,値段の高価さから木のおもちゃのベンツとも言われています。 


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↑ ミニ天使3体です。それぞれベア,お人形,くるみわり人形を手に持っています。おもちゃの一つ一つが丁寧に作られています。



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↑ 左 キャンドルスタンドを持ったちょっと大きな天使です。大人っぽい雰囲気があって,同社のコレクションの中で一番のお気に入りです。
  右 カンテラを持った天使です。このタイプの天使(背中に緑の羽があり,11個の白い点)が,同社が生み出したオリジナルの天使です。



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↑ ソリを曳いた天使です。ソリに載っているツリーには,キャンドルもちゃんとあります。



 オリジナルの天使以外は,頭にお花の髪飾りをつけています。また,天使たちは,決して美人顔ではありませんが,見ていて和むお顔です。