ドイツで出会ったマイスター「Krebs」さん

ドイツの小さな田舎町での出会い

 今回紹介するマイスター「Krebs」さんは,クマとノコがグリューンハイニヒェン(クマとノコは,ドレスデンからケムニッツに行き,ローカル線に乗り換えて行きました。)というエルツ山地の小さな田舎町を訪ねた時に,偶然出会った女性のマイスターです。


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↑ 上左 こんなのんびりした風景です。
  上右 駅からの登坂にある看板です。
  下左 駅の名前は,グリューンハイニヒェン・ボルシュテンドルフです。線路を挟んで2つの町があります。
  下右 古くて寂れた駅舎でした。



 グリューンハイニヒェンは今でこそ小さな田舎町ですが,以前はエルツ山地のおもちゃ産業の中心地として栄えた町で,マイスターを育成するおもちゃ実業専門学校(現在はエルツ山地の民芸品展示館となっています。)もあり,多くのマイスターを輩出していました。しかし,この学校は東ドイツになってから10年ほどで閉鎖されたようです。エルツ山地の民芸品展示館は,ザイフェンのおもちゃ博物館とは比較にならないくらい小さなものですが,展示物には木のおもちゃの歴史を理解する上で,大変貴重な物が多くありました。あまり訪れる人がいないようで,クマとノコが訪ねた日は貸切状態でした。
 係の方から,大変親切に町の案内をしていただき,貴重な東ドイツ時代の絵ハガキまで頂戴(千代紙をクマとノコから差し上げました。)しました。


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↑ エルツ山地の民芸品展示館の看板です。開館時間は午後からでした。この看板が出されたのは,開館時間後だったので,早く到着していると危うく通り過ぎるところでした。



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↑ エルツ山地の民芸品展示館の内部です。1フロアに展示されています。



 現在でも過去の名残から,有名な木のおもちゃメーカー(ブランク社,ヴェント・ウント・キューン社,エルツィ社)があります。クマとノコが訪ねた目的は,エルツ山地の民芸品展示館とおもちゃメーカーを訪ねることでした。 


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↑ ブランク社の屋外ディスプレイです。ブランク社のピラミッドは,ガラス製の鐘が付いているのが特徴で,羽根が回るとチリンチリンと音がします。



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↑ ヴェント・ウント・キューン社です。事前に申し込めば,見学も出来るようでした。小さな木のおもちゃ界の「ベンツ」と言われるヴェント・ウント・キューン社の製品は,工場の直営売店でもやはり高価でした。
 木のおもちゃの「天使」の誕生は,ヴェント・ウント・キューン社であると言われています。ここから,エルツ地方に広がっていったようです。



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↑ エルツィ社です。木製のままごとセットで有名で,日本でも比較的目にすることが多いメーカーです。野菜や牛乳,ジャムの瓶など様々なアイテムがあり,一つずつ揃える楽しみがあります。ここのメーカーの主力製品はコレクターズアイテムではなく,子供たちが遊ぶことの出来る実用的な木のおもちゃです。



 一番遠いエルツィ社を訪ねて,町の中心に戻る途中,ノコが博物館で見たのと同じ人形をショーウインドーに見つけました。確か,伝統的なグリューン・ハイニヒェンの木のお人形で,現在は作るマイスターがいないと説明があったはずです。中を覗くと,工房のようでもあります。どの呼び鈴を押したら良いか迷い,入口付近でウロウロしていると,隣のお店から出てきた方から「ここに用事かい。」と聞かれ「ハイ。」と答えると,呼び鈴を押してくれました。しばらくすると「ハ~イ。」と軽やかな声が聞こえ,ドアを開けてくれました。その方が,マイスターの「Krebs」さんでした。
 彼女の話で分かったことは,①ザイフェンのおもちゃ学校でマイスターの資格を取得し,故郷のグリューンハイニヒェンで工房を開いたこと,②絶えていた伝統的なスタイルの木の人形を復活させたこと,③日本に一度仕事で来日したことがあるでした。
 説明を聞き,彼女の作った小さな木のお人形を2体連れ帰るこにしました。素朴であり,暖かなお人形です。そして,驚くことに,とっても小さなお人形なのですが,テディベアのように可動部分が5ヶ所あります。とても,精緻な作業が施されています。「Krebs」さんのホームページをご覧いただければ,クマとノコがお聞きした内容や人形の仕組みが分かります。


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↑ 白い服を着ている子は,背中に羽根がありますので天使だと思います。赤い服の子は,背中に麻袋を背負っていて,サンタクロースのようです。どういう意味のお人形かを聞いておけば良かったです。

マイスター「Krebs」さんのホームページです。