亡き名古屋三越カフェウィーンのためのレクイエム

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名古屋三越カフェウィーンが永遠に閉店しました。

 1986年4月以来,名古屋にウィーンのカフェ文化を発信してきた名古屋三越カフェウィーンが,8月31日をもって,1/4世紀に近いその歴史に終止符を打ちました。クマとノコにとって思い出と思い入れの深いカフェだっただけにショックは大きいものがあります。
 ノコが,今よりも真面目にドイツ語の勉強をしていた時,カフェウィーンにちょくちょくお邪魔していました。当時の店員さんは,ノコを覚えてくれて,本当のウィーンのカフェのように,お店の奥の静かな席をノコの指定席として案内してくれました。
 その後,少しずつウィーンのカフェらしくない側面が目立つようにはなりましたが,おいしいメランジェとおいしいケーキは基本的には変わりませんでした。三越友の会にもカフェウィーンの縁で入会したくらいです。
 クマとノコに安らぎを与えてくれた,カフェウィーンで働いていた全ての方に,この場をお借りしてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。


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 この閉店のニュースは,実は先にアップしたカフェ・モーツァルトの記事に,yak*o*5_21さんが情報を書き込んでいただき知りました。満足な告知期間もなく,9月(今日現在)になってもHP上では抹消されていないという突然の閉店だったようです。名古屋三越栄本店に確認して得た情報では,改装のための一時閉店ではなく,永遠の閉店であること,日本橋本店等の他の三越に展開するカフェウィーンは継続していること等が分かりました。何で名古屋だけ?


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 デパート(百貨店)は,物を売るだけでなく,文化の発信地でもあります。ウィーンのカフェハウスの認定書を掲げ,ウィーンのカフェ文化を発信してきたカフェウィーンが,日本オーストリア交流年である年に閉店するのは,いささか疑問があります。おそらく開店当初は,ウィーンのカフェが理解されていたと思いますが,年月を経る中で形骸化していったのではと感じます。三越は過去に文化,芸術の面で拭いきれない汚点(経営者の刑事事件)を残していますが,あの失敗が忘れられているのではと危惧しています。例え,カフェウィーンが三越直営ではなく,関連会社の運営であっても,道義的責任は免れるものではありません。
 ウィーンの老舗カフェである「カフェ・モーツァルト」を買収して,免税品店にする計画を立てて,ウィーンっ子の猛反発を受けて計画を撤回したことも思い出しました。

追記 9月6日正午過ぎ,名古屋三越のレストラン担当者から電話がありました。カフェウィーンの撤退理由は,営業不振だったそうです。三越の新しい商業施設ラシックがオープンしてから特に客足が遠のき,運営会社が撤退の決意を1月前にしたそうです。担当者からは,せめて3月末まで営業を継続するよう折衝したことや告知についても店側の要望で1週間前になったことをお聞きすることが出来ました。また,カフェウィーン運営会社による再開はないとのことでした。