窓辺の癒し シュヴィップボーゲン ドイツ・クリスマスの灯り

☆ シュヴィップボーゲンって何? ☆彡

 エルツ地方の炭鉱では,クリスマスイブのお祝いをするため,鉱夫たちが鉱山近くの建物に集まることが習慣でした。18世紀中頃,ある炭鉱に出入りしていた鍛冶屋さんが,お祝いの席にアーチ型の金属製燭台を持ってきたのが,シュヴィップボーゲンの原型となったと言われています。シュヴィップボーゲンという言葉の意味は,もともとは、壁と壁の間に渡して補強するためのアーチ型のはりを指す言葉だったようです。

 このアーチ型のシュヴィップボーゲンは,時代と共に鉱山だけでなく,だんだんと家庭でも使われるようになりました。そして,エルツ地方の人々は,金属だけでなく木でも作るようになり,エルツ地方の木のおもちゃのラインナップに加わりました。

 エルツ地方の鉱山で錫などの採掘が行われていた頃,暗い坑道で1日厳しい労働に従事し,疲れて帰ってきた鉱夫たちを暖かく迎えようと,家々の窓にシュヴィップボーゲンが飾られるようになったとも言われています。今でもザクセン州を中心にクリスマスシーズンになると,家々の窓から暖かな光を放っています。

 最近のシュヴィップボーゲンは,防火のためでしょうかロウソクではなく,電球が中心です。ドイツで買った場合,日本で点灯させるためには細工がいると思っていたら,ドレスデンのクリスマスマーケットで,1軒だけが日本仕様(電圧,コンセント対応)のシュヴィップボーゲンを扱っていました。

☆ リアル・シュヴィップボーゲン ☆

 エルツ地方を中心としたクリスマスマーケットや街中には,大きなシュヴィップボーゲンが飾られています。
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我が家のシュヴィップボーゲン

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↑ R&G社製のオーソドックスなタイプです。クリスマスらしく,ご生誕がテーマになっています。


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↑ 作者,工房は不明です。本体は金属製の小さなものです。光の天使と鉱夫,そしてザイフェンの教会です。


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↑ 作者,工房は不明です。木製の小さなものです。ザイフェンの教会(本当にこのような可愛い教会です。)と聖歌隊です。


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↑ 作者,工房は不明です。昔ながらのオール金属製です。ただし,大きさは手のひらサイズです。このデザインが,エルツ地方のシュヴィップボーゲンのオリジナルのようです。


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↑ ミヒャエル・ミューラー製です。昨年のクリスマス時期に日本で買いました。伝統的なボーゲンタイプではなく,ツリーの形のドップラータイプです。また,キャンドルではなく,電球が光ります。


*クリスマス時期にドレスデンを訪問し,空港からタクシーで市内に向かうと,家々の窓にシュヴィップボーゲンの暖かな灯りが,ポツリポツリと見えてきます。この灯りを見ると,クマとノコは「あぁ,ドレスデンに帰ってきたなぁ。」と毎回思うのです。勝手に,鉱夫の気持ちが少し分かったような気がしています。